タクシーを呼んで、急いで店へと向かった。 「おぉ、高いビルが多いなぁ。首が痛くなりそうだ」 タクシーの中から必死に窓の外を眺める彼は、幼い子供のように無邪気だった。 店の前にタクシーを止めてもらい急いで降りたあと、足早に店へと入った。遅刻するなんてらしくない。 「おはようございます」 誰かに言うわけでもなく、店に入ると同時に声をかけた。 「おはようございます、真沙美さん。休暇あけたんですね」 近くで掃除をしていた従業員の子が声を掛けてくれた。