幽霊の思い出話


 無情にも容器は壁にドンと当たり、床へと落ちカラカラと音を立てた。左之は咄嗟に壁の中に隠れた。

「もうっ」

 やり場のない気持ちになり、くしゃくしゃと頭をかいた。

「おっ、そうだ」

 何か言い忘れたかのように、再び顔を出す。

「いい加減にしてよ」

 さすがに腹が立ち、苛ついた状態で左之を睨み付けた。

「違う違う。これは本当に覗きとかじゃなくて、さっきから電話鳴ってる」

 そう言い残し、壁の中へと今度こそ消えていった。

 電話?アラームは消したし・・・、もしかして店長?もう出勤時間かも。

 慌てて体を流し、体を大雑把に拭いて下着をつけた。