「うん、独り言は変だぜ」 声がして、ビクッとして振り返った。 「きゃっ。・・・ちょっと、何で入ってきてるの」 上半身だけ壁からすり抜けた状態で左之がいた。咄嗟に体を隠すようにしゃがみ込み、キッと睨んだ。 「いやぁ、おまえ意外にいい体つきしてんだな」 クスクスと笑いながら、左之は私をじっと見ていた。 「幽霊いえども入っていいところと悪いところくらい分かるでしょう。さっさとでていって」 腹の底から声を出し、左之に向かってシャンプーの入った容器をおもいっきり投げた。