幽霊の思い出話

 翌朝目が覚めると、左之は座ったまま目を瞑っているようだった。顔が下向いているので、はっきりわからない。寝ているんだろうか。あの体ではあまり寝ないと言っていたけど・・・。

 起こすのは申し訳ないので、静かにベッドから起き上がり、顔を洗った。

 顔を拭きながら、左之を見る。透けていなければ、普通の生きている人間のように見える。私と会話も出来れば、笑いもする。

「変な感じ」

 すっと左之の髪に触れようとした。本来であれば、スーッと指先を通るはずの髪の毛は、私の指先には感じることなく、通りすぎた。

 触れないと分かっていたのに、少し寂しくなった。やっぱり左之は幽霊なんだ。

「んんっ」

 左之がびくっと動いたのを見て、一歩後ろに下がった。