「左之っ、開けてもいいか?」

 部屋の前で新八の声が聞こえた。あぁ、と返事をすると部屋へと入ってきた。

「どうした?」

「母屋に行くぞ」

「早かったな。それで足音がするんだな」

「あぁ。やっぱり芹沢さんの声とかで、八木邸の人間が起きたみたいだ。あと、さっきはすまない。俺が平間さんを逃がしてしまった」

 新八が申し訳なさそうに頭を下げた。

「いや、仕方のないことだ。ただ、珍しいな」

「うまく夜目が効かなくてな。灯りを完全に消されていたせいで、平間さんを仕留める前に女に侵入がバレたんだ」