幽霊の思い出話

「左之」

 新八が右手を挙げ、こっちだと手招きした。

「行くか。近藤さんたちは先に行ってる」

「あれ?近藤さん今回参加だったか?」

「慰労会名目だからな。巡回のない者たちは行ってる」

「あ、そうか」

「急ごう、雨がきそうだ」

 新八と小走りで島原の一角へと向かった。到着した頃には小雨が降っていた。

 暖簾をくぐり、開いていた扉を通り抜けた。

「いらっしゃいませ、こちらです」

 案内役についていくと、賑やかな声が聞こえる。姿を見なくてもあの部屋だと確信できた。

「おぉ、来たか。先に始めてるぞ」

 案内役が開けた襖の先に、赤い顔をした芹沢さんが俺たちを出迎えた。