幽霊の思い出話

 斎藤さんは目を丸くして、口をあけて俺の方を見ていた。

「あ、すまない。忘れてくれ」

「いや、左之からそんな話が出ると思っていなくて」

「どういう意味だよ」

 思わず笑うと、斎藤さんも笑っていた。

「そんなこと、考えなくていいんじゃないか?」

「え?」

「そりゃ、同じ志をもつのは大事だけど、正反対さえ向いてなけりゃ、多少なりにもそれぞれ思うことは違うもんなんじゃないか?全く同じ志は、それぞれの性格があるから違う部分もあるだろう。それは無理な話だ」

 斎藤さんを見上げると、そんなもん当たり前だろう、と言わんばかりの顔だった。