どれくらい経ったんだろう。置いていた携帯のアラームが耳元で鳴り始めた。起きなきゃ。
そう思い、うーんと声を漏らしながら伸びをし、起き上がった。携帯を見ると家を出なくてはならない三十分前だった。
外を見ると薄暗くなっていた。それと同時に驚いた。彼がまだベランダに立っていたからだ。
カラカラと音を立てベランダの窓を開けると、左之は横目でこっちを見た。
「左之、まだ居たの。もう二時間も経つよ」
「あぁ、もうそんなに時間経つのか。この体になってから、時間の感覚がどうも鈍い」
「そう。何考えてたの?」
「・・・故郷さ」
少し何かを考えるように黙ったあと、彼はそう言った。



