幽霊の思い出話


「近藤さん、お別れです。俺はこの真沙美と先に進みます。きっとどこかで元気に暮らしてると信じています。また会いましょう」

 左之はそう言って深々とお辞儀をした。つられて私も勢いよくお辞儀をした。

「死んだ人間に、元気で暮らしているって言うのも可笑しいな」

 ははっと笑った。

「そうね。でも、左之も元気じゃない?だから今の言葉でいいと思うよ」

「そうか?・・・うん。そうだな」

 ニカっと歯を見せて笑う左之はとても満足そうだった。

「真沙美」

「うん?」

「行こう、次に」

「次?」

 少し首を傾げた。

「あぁ、行こう。芹沢さんの元に」

「えっ?」

 唐突な言葉に少し驚いた。