それ以前に、幽霊だから浮いてるのにエレベーターが落ちてもあなたは落ちないでしょう・・・。そう思ったけど黙っていた。 なんとなく彼の足元を見た。幽霊は足がないなんていうけれど、はっきりと着物の裾から足が出ているのが見える。地についていたり、目の前をふわりふわり浮いていたりするけど足はある。素足に草履を履いた足が。 大きな足。 そんなことを考えながらぼーっと足元を眺めていると、すぐに部屋のある十階に着いたエレベーターの音で我に返った。