幽霊の思い出話


「そうなんですか。あの、近藤さんのお墓はどこか分かりますか?」

「彼女のすぐ隣のところです」

 そう言って彼女が指をさした先に、左之は真っ先に向かった。

「終わったよー」

 掃除をしていた彼女は立ち上がり、こっちに向かって手を挙げていた。

「突然話しかけてすみませんでした」

「いえ、全然大丈夫です。助かりました。ありがとうございました」

 お互いに軽く会釈をした。彼女は左之が立っている方に向かって走っていった。

 左之はじっとお墓を見つめていた。彼女たちは並んでいるお墓一つ一つに、真剣に手を合わせていた。

 彼女たちのような人がいることに、私は少し胸が熱くなった。

「じゃあ。ゆっくりしてください」

 そう言って彼女たちは去っていった。