先程の場所で見た石像と同じ顔の、近藤さんの石像が左之の前に堂々と立っていた。

「素敵だね」

 左之の横に立ち、近藤さんの石像にお辞儀をする。

「真沙美、ここに墓はないのか?」

「ちょっと待って」

 携帯を取り出し、調べてみた。

「本堂の裏の方にあるみたい」

 左之にそう言うと「行こう」と言った。

「うん」

 頷き、左之の歩くすぐ後ろを歩いた。ふよふよ浮くことなく、左之はしっかりと地面に足をつけて歩いていた。

「ちょっと待って」

 裏に回ろうとする左之を本堂の前で呼び止めた。

「お参りしてから行こう。さっき出来なかったから、今度からきちんとしようと思ってたの」

 そう言ってお賽銭を入れ、手を合わせると、左之も横で黙って手を合わせていた。