「失礼します、芹沢さん」

「芹沢さんっ、どういうことなんですか?」

「何をそんなに熱くなっているんだ、土方、原田」

 怒鳴り込むように部屋に入った俺たちとは反対に、芹沢さんは涼しい顔をしていた。

「ただでさえ暑くなってきたというのに、そうカッカせんでもよかろう。勘弁してくれ」

 しっしっと、鉄扇で俺たちを追い払うように手を動かした。

「勘弁してくれじゃないですよ。隊士の募集に大坂に行ったはずです。誰も問題を起こしに行ってくれとは言ってません」

「問題を起こそうなんて微塵も思ってなかったさ。だがな、起きてしまったことは仕方なかろう?」

 悠然と話すこの人に腸煮えくり返りそうだった。いや、すでに我慢の限界だった。