幽霊の思い出話


「来てくれー」

 微笑みながら、振っていた手で今度は手招きを始めた。

 いいところだったけど仕方がない。携帯をしまいこみ左之の元に向かった。

「どうしたの?」

 少し早足で階段を駆け下りたせいか、息が乱れた。

「近藤さんっ」

 左之は急に石像に向かって近藤さんの名前を叫んだ。

「俺をここまで連れてきてくれたのは、この真沙美です。いい女でしょう?」

 急に言われてびっくりして左之の顔を思わず見たが、左之は構わず続けた。

「どの時代にもいい奴は居ますね。俺はもう少しこの世界を見て回ってきます。いつかまたどこかで会いましょう」

 そう言って一礼した。左之がお辞儀したのを見て、慌てて私も一礼した。