「左之、左之っ」
「ん?」
「見て、ここの部分」
「何だ?」
ふわっと、左之は寄ってきて、私の指の差す方を覗き込んだ。
「ここ、土方歳三って」
「・・・本当だ」
少し驚いた顔をして、じっとその名を見つめていた。
石像の台の部分の石には、はっきりと土方歳三と刻まれていた。
「持ち帰って供養したの、土方さんだったのかもしれないね」
「あぁ。・・・うん、そうだな、あの人ならあり得る」
近藤さんの顔を見つめながら左之は何か考えているようだった。
「左之、そこに居てゆっくりしてて。私ちょっと上に上がって休んでくるから」
二人っきりにさせてあげようと思い、離れれるであろうぎりぎりのところまで進んだ。



