「いや、なんでもないです。ここに来れて良かった。あんな別れ方本当にすみませんでした。共に居れた数年、本当に楽しかったです。ありがとうございました」

 勢い良く頭を下げ、深々と礼をしていた。

 長く長く、敬意を払うように、何かを伝えるかのように、左之は頭を下げ続けた。

「左之」

 呼びかけると、左之は頭をあげ、いつもの笑顔を見せた。

「真沙美、ありがとうな」

「ううん。私は何もしてないから。左之が嬉しそうで良かった。でも、会えなくて残念だったね」

「いや、いいんだ。もし居たら、恐縮して話せないかもしれないからな」

 そう言って左之は笑った。

「お花でも持ってきたら良かったね。手ぶらで来ちゃった」

 左之と話しながら、近藤さんの石像の近くに寄った。土台に何か書いてある。