幽霊の思い出話


 そして、その翌日将軍様が上洛したと聞いた。

「京にいる間に警護できるといいですね」

「そうだなぁ」

 縁台に山南さんと腰をかけ、町から聞こえる声を聞いていた。嘆願書は無事提出され、あとはどうなるか結果を待つだけだった。

 そして、一週間が過ぎた頃、新見さんが騒ぎながら門をくぐって帰ってきた。

「大変、大変っ」

 息を切らし、慌てていた。ちょうど門の近くに居た新八と俺は目を丸くした。

「どうしたんですか?」

 騒ぎ声を聞いて山南さんが部屋から出てきた。

「新見さん、あなた確か芹沢さんと近藤さんと出かけたはずじゃ」

「まさか近藤さんに何かあったのか?」

 思わず、新見さんに駆け寄った。