幽霊の思い出話


「土方さん、書いてきたぜ」

「あぁ、ありがとう」

「あとは提出するだけだな」

 残留するために提出する嘆願書を、俺たちはかき集めていた。東帰命令には従わない。

「おい」

 低い声が、障子の向こうの廊下から聞こえた。

「芹沢さんですか?」

「あぁ、近藤はどこだ?」

 そう言いながら、芹沢さんは障子をあけ、ふくよかな体を見せた。

「近藤さんは八木さんと話をしているはずです」

「ふん、あいつがしているならよい。邪魔したな」

 障子をしめ、帰っていった。