芹沢さんは見向きもせず、かがり火の方を見ていた。

「芹沢さん、本当に申し訳なかった。この通りだ。だから頼みます。この火を消してください」

 近藤さんは頭を地面に擦り付けながら、土下座して懇願していた。

「頼みますっ、芹沢さん」

 近藤さんが必死に頼む姿を皆目に焼き付けていた。絶対にこの人を這い上がらせてやる。

「ちょ、ちょっと、山南(ヤマナミ)さん。頼む、堪えてくれ」

 背後で新八の声がして振り返った。そこには刀に手を掛けた山南さんを、必死に制止している新八の姿があった。

「山南さん、ダメだ。今は、今はするべきじゃない」

「あんな横暴な奴これから先も必要ないでしょう」