あれから半年が経過したが、亜美菜は今だに図書館に居た。 
 
 勿論、何も起こらないまま季節だけが移り変わったにすぎないが、やっぱり亜美菜はここに居た。

 安物のグレーのコ―トに安物の赤いマフラーは、ここに来る為の亜美菜の制服となって、いつしか誰もが知るいつもの女の子として常連の仲間入りをしていたが、特別仲の良いという相手は亜美菜には居なかった。 
 亜美菜は、ここでは道化師を封印した。いくら笑われたって、それは本当の自分では無く、ガラスの仮面を被った偽りの姿でしか無いからである。 
 そのガラスの仮面も半年前に砕け散り、自分を隠す物はもう何も無い。