次の休日、亜美菜は図書館に向かった。しかし、それは心待ちにしていたこれまでの日とは違って、早咲きの桜が散るような気持ちであった。 

「この本を返せば、私はもう図書館には行かない」

 最後の返却であった。 
 図書館の自動ドアが重たそうに開く。亜美菜は最後の一歩を踏み入れると、最初に来た時の事を思い出した。 
 あれから色んな出来事がここで起こった。恥をかいた事から始まり、失恋、素敵な友達、そして涙。最後はまた一人へと、走馬灯のようにと人は言うが、まさしく、それが亜美菜の頭の中を駆け巡り、フッと溜め息を一つついた。