「忘れては無いけど」
 嬉しい気持ちなど起こらなかった。それは自分でも不思議ではあったが、それでもやっぱり嬉しくはなかった。 

「髪、そんなに濡れてどうしたの?」

「何でも無い」

「何でも無いことはないよ。それじゃあ風邪ひくよ、絶対に」

「関係無いと思う・・・」
「他人じゃないんだし、関係あるって」

「他人だよ・・・」

「どうしてそんな事を言うかなあ」

「他人だから」