空は雲1つない晴天。
卒業式にはぴったりだと思った。
窓の外を見る。
すっかり雪も溶けて、
木には蕾も付き始めている。
「散歩…行こっかな」
コートを羽織り、
玄関を出る。
今頃隼人は、卒業式か。
校長先生の話、
聞いてるのかな。
クラスのみんなも、
無事卒業出来たかな。
最後にもう一度…。
「え、」
そう考えてたら。
いつの間にか辿り着いていた。
あたしの、思い出の詰まった、
隼人のいる高校に。
「こんなに歩いた、かな…?」
あたしの家からここまで、
結構距離がある。
けれど、歩いた実感はない。
時計を見てみると、
まだ式の真っ最中で。
外に誰もいないことをいいことに、
校門の前を横切る。
「遅っせーな」
聞き慣れた声。
あたしは、一瞬歩みを止め
思考をフル回転させる。