「朝比奈先生」
「はい」
さっきより低い声で。
あたしの名前を呼んだ。
「こういう騒ぎは、容易に解決するものではありません」
「重々承知しております」
「朝比奈先生が人違いだと言っても、人違いではないかもしれない」
諭すようにゆっくり話す校長。
あたしは次に何を言われるか
びくびくしながら、
耳を澄ませた。
「人違いではない場合、矢野の合格は取り消しになってしまうことになります」
「取り…消しです、か?」
「やむを得ないです。教育委員会の耳にも入ったら、取り消しどころじゃ済まない可能性も出て来るんですよ」
分かりますよね?と、
目で訴えられる。
「彼だけの問題ではない。あなたかも、ということは、あなたも関係してくるんです」
校長の一つひとつの話が。
あたしを窮地に追い込む。
「自宅謹慎は先生にとって厳しいかもしれませんが、ここは我慢して受け入れてもらえますね?」
厳しいことを言われてる。
それは分かってるけど。


