「本当?!」
『うん。今からそっち向かうから』
「分かった!待ってるね」
合格祈願から1週間。
合格発表を見に行った隼人から、
受かったと連絡が入った。
「おめでとう、隼人」
「いや、正直信じらんねぇ」
倍率が高かった学校の、
合格証明証をあたしに見せてくれる。
あたし自身も、正直不安だったから、
受かったと聞いてほっとしている。
「でも、本当すごいよ。中西先生も驚くだろうな」
「間違いない。中西は確実に嘘でしょ、とか言うだろうな」
2人で笑いながら、
あたしの作ったご飯を食べる。
こうやって、隠れるように
家で会っているのも。
これから堂々と出来るんだな。
もう少しで隼人は、
生徒じゃなくなるんだな。
そんなことを考えていると、
離れることの寂しさとか、
不安とかよりも、
今まで行けなかったこととか、
出来なかったことを
したいっていう思いで
いっぱいになって。
「これから、色んな所行こうね」
「どこ行きたい?」
「えー、どこでもいい…かな?」
「んだよ、それ。じゃあどこにも連れてかねぇ」
「あ、それはやだ!」
ひとまず合格だと聞いて、
安心した。
あとは無事卒業して、
春を迎えるのを待つだけ。
あたしの心の中は案外、
希望と楽しみで
いっぱいだった。