あたしは泥だらけの背中を、
優しく擦った。
どうしたらいいか、
解決法は分からないけど。
でも、話は聞いてあげられる。
そう思った時。
「おい」
後ろから声がする。
予想はついたけど、
人ごみの真ん中にいた隼人が
いつの間にかあたしの後ろにいた。
「は、隼人さん!す、すいませんっ…」
松田くんは土下座をして、
隼人に謝る。
額には砂と石がついていて。
「は?どういうこと?」
「話、聞いてあげなよ」
あたしは立ち上がり、
一歩下がって隼人を前に出した。
さっきより隼人が近付いたからか、
松田くんは少しずつ後ずさりする。
「んで下がんだよ。お前怪我してんだろ」
「いや、もう合わせる顔ないっす…」
あたしはその光景を見て、
小さく笑ってしまう。
隼人は普通の人間なのに、
松田くんには特別なものに
見えてるんだ。


