「松田くん、手当てっ…」
「いらないです。俺、手当てなんてしてもらう必要ないです」
立ち上がらせようと手を差し伸べた
あたしの手を、静かに払う。
あたしは松田くんの隣にしゃがんで
様子を伺う。
「松田くん…?」
「くそっ…」
血まみれの手で、地面を殴る。
目からは大量の涙。
あたしは1人、松田くんの
隣でうろたえる。
「何で泣いてるの?」
「先生…、俺、隼人さんに憧れてたんです。だから代表の順番決まった時、俺嬉しくて」
なるほど、と理解し、続く話を頷きながら聞いてあげる。
松田くんは、隼人みたいなやんちゃな風貌じゃなく、
まじめそうな普通の男の子。
こんな子でも、隼人に憧れたりするんだ。
「たくさん練習して、絶対隼人さんに1位でバトン渡すって決めてたんです」
「そっか、松田くん頑張ったんだね」
「で、これが結果です。俺情けないですよね…」


