そんな子どもみたいなことを
考えたあたしとは裏腹に。
隼人は駆け出した。
こけてしまった、2年生の元に。
「貸せ!」
勢いよくこけた2年生の膝は、
グラウンドの砂と石で汚れていて。
腕からも血が出てて。
そんな彼の元からバトンを奪った隼人は。
前に走って行った、他の色の3人の後ろを
追いかけて行った。
その姿はまるで風のようで。
「きゃー!」
「隼人行けー!」
女子の黄色い声と、クラスの男子の声が、
グラウンドに響き渡った。
こけてしまった2年生からバトンを
受け継いだ隼人は。
最下位だったはずなのに。
いつの間にかトップで、
ゴールテープを切っていた。
グラウンド内は、盛り上がり、
隼人の周りは仲の良い友だちをはじめ
人でいっぱいになっていた。
1位を取った、隼人は
嬉しそうな顔で笑っている。
「あ、あの子」
あたしはすっかり救護の場所にいることを
忘れて、隼人に見とれてしまっていた。
「大丈夫…?!」
ずる剥けの2年生の彼に駆け寄る。
名札には"松田"と書いてある。
地面に座っている松田くんは、
悔しそうな顔をして少し泣いていた。


