そんな彼だけの魔法の言葉は、
"家来る?"
そう言うと、泊まる?って
聞かれてると思ってるのか、
すぐに泊まる、って
嬉しそうに返してくる。
きっとさっきの不機嫌も、
生徒たちがあたしを褒めたり
誘ったりしたからだと思うけど。
「でも、ちゃんと頑張ってよ?昼からも応援してるからね?」
「死ぬ気で1位取るから」
隼人は、こんなにあたしを
愛してくれてて。
なら別にずっとこのままでも
いいかなって最近思えるようになってきた。
「じゃ、行くわ」
「うん。ここで見てるからね」
最近、素直に笑顔で返してくれる。
昔はトゲばっかりの隼人だったけど、
最近みんなに変わったねって
言われるらしい。
確かにあたしも思うけど。
「あ」
立ち去る前に隼人が一言。
「リレー。去年見てねぇんだから今年は見ろよ」
「あ、うん!絶対見る!」
そう言うと、隼人はいきなり耳元で。
「芽衣子のために、頑張るから」
小さく囁いて、テントに向かって
振り向かずに走って行った。
あたしは思わず顔を赤らめ、
机にうつ伏せる。
「お熱いことで」
突然後ろで誰かの声がして、
驚いて振り向くとそこには、
白石先生がいた。
「…す、すいません」
「何謝ってんのよ!別に話してただけなんだから、いいじゃない」
「は、はぁ…」
いつもだったら、考えて行動しろって
怒るのに、何故か今日は温和な白石先生。


