「県外なのよ。九州の方なんだけど」
したいな、って思ってた。
遠くに行くなんて、
絶対ないと思ってた。
離れることを、想像して
なかったのに。
「九、州…ですか?」
「そう。何か行きたい学校があるって」
行きたい、学校。
そんな話聞いたことない。
進路の話すら、してなかった。
というより、したくなかった。
こうなることは思ってなかった。
遠くに行くことなんて、予想
出来なかった。
いつでも彼は、
あたしの近くにいると。
そう、勝手に思い込んでいたから。
「何に…なるんですかね」
動揺を隠せない。
目がきょろきょろしてしまう。
涙が出ているかも分からない。
何、してんのあたし。
今は教師なのに。
「それは言わないんだ、って。でもどうしてもなりたいって」
どうしてもなりたいものに、
なるために九州に行く。
それを知らなくて。
今初めて知って。
あたし、本人に聞いたら
背中を押してあげられるんだろうか。
快く頑張ってって、言えるんだろうか。


