「いやいやいや」
いきなり布団がめくれ上がった。
かと思えば、温かい温もりが
あたしの背中を包み込んだ。
「え、矢野くん?」
「普通に考えて寝ないだろ、あんな短時間で」
あたしは固まって、
何も言えなかった。
寝ていると思った矢野くんが、
あたしの後ろにいるんだから。
「俺まだやってねぇことあんだわ」
「やって…ないこと?」
「約束。守ってもらってない」
約束、という単語に反応する。
やっぱり覚えてたんだ。
「約束?」
あえて知らないフリをする。
そうすれば、もういいとか言って
すねて寝るかな、と思ったから。
「とぼけんな、覚えてるくせに」
だけど矢野くんは、
あたしの予想とは反対に、
強引に引き寄せた。
あたしに回る手が、
きつくなる。


