部屋に帰ると、
矢野くんは窓際に座って
涼んでいる。
しっかり温まったおかげか、
少し顔が火照って赤い。
慣れない浴衣のせいか、
少し胸元が開いている。
…やだ、あたし。
あの一言で頭がいっぱいだ。
【じゃあ、今回一発合格したら、芽衣子欲しい】
あたしが、欲しいって。
どういうことなんだろ。
やっぱり、そういうことなのかな。
それとも、考え過ぎ?
んー、どうしよう。
「なーに考え込んでんだ、難しい顔して」
窓際から飛んでくる声に、
意識を向ける。
矢野くんは、変わらない格好で
あたしを見つめたまま笑った。
「な、何笑って…」
「いや、何でも」
笑いながらそう言うと、
あたしを手招きした。
不快ながらも、
頬を膨らませて窓際に
足を運ぶ。


