「ねえ、何買ったの?」
「さっきの女将さんにプレゼント」
「…そう」
何、それ。
お母さんに、とか。
兄弟に、とか。
せめてあたしに、とか。
言うのかと思った。
何なの、バカ。
いくら綺麗だったからって。
初めて会った女将さんに、
プレゼントなんて…。
「なわけねえだろ」
何て顔してんだよ、おい。と。
あたしの頬を軽くつねる。
「な、何よ…」
「しょぼくれた面してるから。どんな義理で、女将に買うんだよ」
「だって…、矢野くんが言ったから」
もう嫌だ、あたし。
今日は一層、子どもみたい。
「お前にだよ」
「あ、たし?」
当たり前だろ、って。
そう言った後、
あたし達は何も話さなかった。
恥ずかしさと嬉しさで、
あたしは何も言えなかった。


