「そうなんだ。でも…」
ごめんね、と。
あたしは言うつもりだった。
これが欲しいなんて。
だってどれも、
カップル向きのもの。
きっと、矢野くんは。
「買う」
買わないって。
言うと思った、のに。
「へ…」
隣にいるあたしは突っ立って、
素っ頓狂な声を出している。
そんなあたしをよそに、
矢野くんはしゃがんで
目の前のそれらをじっくり
眺め始めているではないか。
「これ。これ下さい」
「毎度あり~!」
何を選んだのかも分からないまま、
矢野くんはお金を払ってしまった。
「これだけ、プレゼント用で」
「はいよ!」
女の人と、矢野くんで
話が進められる。
あたしは蚊帳の外。
「ありがとうございました~!」
女の人の声は、背中に。
矢野くんは颯爽とあたしの
手を握って、来た道を
戻って行く。


