「あー、よく寝た」
「寝ないって言ったのに…」
ぷうっと、子どもみたいに
頬を膨らます。
それを見て、矢野くんは
にやりと怪しい笑み。
「寂しかった?」
「は、何言ってっ…」
顔を赤らめ、慌てる様子を
見せたあたしに。
「可愛い」
そんな言葉をこぼす矢野くん。
何なの、今日の彼。
調子狂っちゃうじゃん。
「いらっしゃいませ。よくお越しくださいました」
受付をするため、
旅館の中に入ると、
綺麗な着物を着た女将さんが
お出迎えしてくれた。
「今日はお2人でのお越しですか?お似合いですね」
そんなお世辞に。
あたし1人顔を真っ赤にする。


