「テスト返しまーす」
テスト返しの日。
毎回のごとく、
生徒達はそわそわしている。
あたしは出席番号順に、
テストを返す。
「矢野くん」
そしてあたしが。
毎回言うこと。
「今回のトップは、」
毎回のトップ合格者の名前。
今までほとんど決まった
生徒の名前が挙がってたけど。
今回は、あたし、初めてで。
「矢野くんが1番でした。おめでとう」
顔がほころびそうになるのを我慢。
矢野くんをちらり、と見ると。
どうだ、と言わんばかりに
綺麗な顔であたしを見ていた。
「じ、じゃあ今日はこれまで。再補習者は後日ちゃんと来るように」
あたしは、逃げるように
教室を後にした。
背中に聞こえた、
生徒達の声。
想像のつく、
矢野くんへの信じられないと
言う言葉達。
あたしは、少し優越感に
浸りながら職員室に戻った。


