「何そんなカリカリしてんの?」
近い顔。
授業中なのに。
矢野くんはお構いなしに
あたしの腕を掴み続ける。
「してない、」
「してんだろ。鏡で顔見てみろよ」
矢野くんの目が、
あたしに何かを問いかける。
あたしはあえてそれに気づかない
フリをして腕を解いた。
「そういうのは、またね」
背中に痛いほどの視線が刺さる。
彼以外は、問題を解くか、
竣に夢中だったから
よかったものの。
何でいつもあんなことしないのに、
今日に限ってああいうことを
するのだろう。
頭が痛くなりそうで。
あたしは早く授業が
終わることを願ったまま、
ワークの答え合わせに
移ることにした。


