「でもさ」 矢野くんは小さく息を吐いた。 そしてはっきりと。 「俺、ただの男なんだけど」 苦しそうにそう言った。 「矢野く、ん…」 その刹那。 あたしはもう無理だと思った。 彼は、あたしの知ってる 矢野隼人じゃない。 「お前にもっと早く、ちゃんと言いたかった」 そう言って矢野くんは、 あたしを後ろから包んだ。 この小さな部屋の中に、 あたしと矢野くんは 立ったまま。 「俺、本気でお前が好きなんだって」 こんなの。 泣かずにいられるでしょうか。