「何でそんな急いでんの?」
あたしの気持ちを無視して、
矢野くんは構わずあたしに
声をかけてくる。
気付けば後ろにいて。
「矢野くん…、早く帰らないと」
時計を見ると、
夜の10時はとっくに超えている。
高校生は、そろそろ
補導される時間。
「補導の話?」
「この辺、結構回って…」
「そしたらお前がかくまえよ」
いつの間にか、
矢野くんは隣にいて。
並んで歩くのは、初めてで。
ドキドキは最高潮に
達してしまう。
「家、この近く?」
「そうよ。…あ、ここで曲がるわね」
いつもと違う道で足を止める。
どこまで一緒か分からないけど。
このまま一緒にいたら、
あたしの心臓がもたない。


