それから何もない日々。
矢野くんは普通に
接してくれる。
あの日にあった出来事が、
まるでなかったかのように。
「あ、」
バレンタイン1週間前。
あたしが教室から
準備室に行く途中の
廊下に矢野くんが
立っていた。
「まだいたの?」
「用事。お前に」
あたし?
自分を指さしながら、
少しずつ近付く。
「もうすぐバレンタインだね」
なんて言葉を交わす。
矢野くんは、いくつ
女の子からもらうのだろうか。
「いくつもらえるんだろうね、矢野くん」
「別にいらねぇし」
そう言って、
あたしの後を着いて来る。
準備室の中に入ると、
矢野くんはいきなり
ドアを閉めた。


