「積もるかな…?」 「積もるだろ。しかも初雪だし」 そっか…、と言葉を濁す。 「いいことあるんじゃね?」 「いいこと?」 矢野くんはあたしがあげた ネックウォーマーを触り、 ふと顔を上げた。 「だって、ホワイトクリスマスだろ」 「あ…、本当だ」 今日がクリスマスだってこと、 少し忘れかけてた。 「柄じゃねぇな俺。じゃ、帰るわ」 「あ…、うん」 近かった距離が、 一気に遠くなる。 「また学校で」 矢野くんはそう言って、 来た道を歩いて行った。 あたしはずっと、 空を見上げていた。