「早くしろって」 矢野くんはそう言って。 あたしの手を引いた。 あたしは突然ことに 声が出せない。 「何で…、」 口からこぼれる あたしの気持ちに。 矢野くんは答えず、 どんどん歩き続ける。 ここ街中だし。 誰かに見られるかも しれないし。 だってあたし達。 教師と生徒じゃない。 「矢野くん…っ」 「んだよ」 「歩けるから…、」 早く歩けるから。 だから。 「離して…」 その手を、 離して下さい。