いくら値段を見ようとしても、 矢野くんは全く見せてくれない。 どれだけ抵抗しても、 効かない。 「しまわないと、もう口聞かねぇ」 「…、やだ」 あたしはそう言われ、 子どものように口を尖らせ 言われるがまま財布を 鞄にしまった。 「ありがとうございました!」 店員さんに見送られ、 あたしと矢野くんは 店を後にした。 「送る」 矢野くんはもう会計のことは 気にしていなくて、 帰ろうとする。 あたしはまだ会計のことを 引きずって、返事を 返せない。 「矢野くん、お金…っ」