「ん」
腕を差し出した。
「…ん?」
「捕まれよ。お前のこと置いて行きそうだから」
ほら、早くしろって。
そう言われ、あたしはどさくさに
紛れて、矢野くんの腕に
手を回した。
温かい彼の温もりを感じる。
「行くぞ」
そしてまた、
彼は目的とする場所まで
黙々と歩き続けた。
「もう着く」
足を止めた場所は、
見たことのない料理屋さん。
「いらっしゃいませ。ご予約の方ですか?」
「矢野です」
矢野くんは自分の名前を告げると、
店員さんから何かを受け取り
店の中を堂々と奥に向かって
歩みを進める。
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