「行くか」 しゃがんでいた彼が 腰を上げる。 立ち上がった彼は、 いつもと全然違っていて。 制服を着ている高校生には 思えないほど、 大人っぽくてかっこいい。 「うん、」 息をのむほど彼は、 いつもと違う。 つん、とした雰囲気が、 今日は落ち着いた大人の男性。 「ね、どこ行くの?」 「内緒」 黙って歩き続ける矢野くんの 後ろを、あたしも黙って歩く。 前にいるからか、 歩くのが早い。 待って。 そう言おうと思った時。 「遅ぇって」 彼は急に振り返って。