「ありがとうございました!」
店員さんに頭を下げ、
店を出る。
そこから矢野くんの元まで走った。
気付いたら走っていた。
早く早く、会いたい。
そういう一心で、
あたしは走った。
はぁ、はぁと息が切れる。
ヒールの音がコツコツと鳴る。
必死になって走ったあたし。
待ち合わせの場所に着いて、
肩を揺らす。
そして、一気に
鼻の奥がツン、と
痛くなった。
「走んなって、転ぶぞ」
待ち合わせの時間は18時。
今は17時43分。
「矢野くん…」
目の前の彼は、
鼻の頭を赤らめて。
白い息を吐いている。
いつからここにいるのだろうか。


