「あ、これ…」
1つのお店に並べられた
商品の中に見つけた、
黒いネックウォーマー。
温かそうな素材で出来ていて、
シンプルな物。
「似合うかな…」
手に取ると、行動は早くて。
「プレゼント用に…、包んで下さい」
明日はイヴ。
明後日はクリスマス。
きっと彼は、彼女と過ごす。
今日過ごすことが、
矢野くんにとって
ただの気まぐれだったとしても。
あたしと一緒にいたことを
忘れてしまうとしても。
あたしは絶対忘れない。
でも本当は覚えていてほしいから。
「お客様、これこの世に1つしかないんですよ!彼も喜びますねっ」
何も知らない店員さんは、
そう言って楽しそうに笑う。
あたしも笑った。
今日の数時間だけは、
あたしと一緒にいる。
矢野くんの目に映るのは、
どうかあたしでありますように。


