「そう、だけど…でも、」
「食わねえと死ぬぞ。座ってもいねぇし」
もう。やめてほしい。
あたしのことを、
そうやって気遣うの。
でないと、あたし。
「…知ってたの?」
「当たり前だろ」
あなたに好きって、
言ってしまいそう。
言えないことに、
狂ってしまいそう。
「食えよ。溶けるから」
「でも矢野くんのないし…」
「一口くれればそれでいい」
彼はあたしの食べさしを、
口に入れると言う。
ねえ、矢野くん。
あなたは一体、
何を考えてるの?
「でももう溶けてるよ?」
少し恥ずかしくて、
意地悪を言うと。
「うるせ、ばか」
矢野くんは、そう
言って顔を赤らめた。


