――4月。



満開の桜の木の下に、
俺は着なれないスーツ姿で立っていた。



枝の先には、新生活スタートの日にふさわしく、真っ青な空が広がっている。



俺の前を、同じく真新しいスーツに身を包んだ男女が次々と通り過ぎて行った。



そして――…



「歩夢ーーっ!!」



遠くから聞こえて来た明るい声に、
俺は笑顔で振り向く。



「沙羅っ!」






これから……


俺たちの新しい日々が……


始まろとしていた――…。








【完】