あたしは急いで家を飛び出した。 だから寝癖は走りながら手ぐしで直す。 化粧品なんてもってのほか、素っぴんで学校へ向かう。 『千秋、おはよ。』 後ろから声をかけてきたのは同じクラスの結衣。 あたしの名前は姫野千秋。 16歳にしていまだ彼氏なし。